東アジア恠異学会第77回定例研究会の情報を転載いたします。
http://kaiigakkai.org/invitation.html
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東アジア恠異学会第77回定例研究会
日時: 2012年3月4日(日)10時〜
場所:東京・立教大学池袋キャンパス12号館・地下会議室
内容:

○特別企画「東アジアの占いと予言〜未来を読む技、語る声〜」

関連報告  佐々木聡氏(東北大学大学院博士課程、当会会員)
コメント  水口幹記氏(立教大学文学部助教
テーマ報告 高谷知佳氏(京都大学法学部准教授、当会会員)
テーマ報告 小峯和明氏(立教大学文学部教授)


○プログラム

10:00〜
 研究報告 佐々木聡氏(東北大学大学院博士課程、当会会員)
「怪異占の諸相と比較分析方法試論—鬼神・占卜・辟邪をめぐって」 
 コメント 水口幹記氏(立教大学文学部助教

12:00〜  昼食休憩

13:00〜
 テーマ報告1 高谷知佳氏(京都大学法学部准教授、当会会員)
「中世末期の都市と二つの凶兆」
14:00〜
 テーマ報告2 小峯和明氏(立教大学文学部教授)
「<予言文学>と怪異」

(休憩)

15:30〜
 全体討議


○研究報告「怪異占の諸相と比較分析方法試論—鬼神・占卜・辟邪をめぐって」
ー佐々木聡氏(東北大学大学院博士課程)

【要旨】
 最近書いた拙稿「中国社会と怪異」(近刊予定『怪異学入門』所収)でも触れたが、中国の怪異占では、どんなモノゴトを「怪異」現象と見なして占うかについては、国家・為政者レベルであれ、民間・個人レベルであれ、大きな違いはなかった。これは例えば、唐代に民間で使われた怪異占書に見える怪異が、当時の勅撰占書『開元占経』に載録される怪異とほぼ一致することからも明らかである。
 しかし、同じ怪異であっても、占卜による解釈や対応策としての辟邪方法、及びその背景にある鬼神観は、その占書により大きく異なる。例えば、民間の雑占書には、怪異とその解釈(占断)の他に、怪異を起こす鬼神やその辟邪方法を付記したものがあるが、こうした形式は、怪異と解釈のみを記す五行志や『開元占経』とは対称的である。また、占断方法も様々なものがあるが、こと怪異を解釈する場合には、中国では以前の怪異記録と照合する場合が多い。これは怪異が起こった際に、それを起こす鬼神の意図(神意)を式占や卜筮などにより占うことの多い日本の場合とは異なる特徴である。このことは、中国では国家レベルの怪異は、天が為政者に下す譴責であり、鬼神の自己主張ではないということと関係しよう(そもそもこうした国家レベルの怪異には鬼神は殆ど登場しないとも言われる)。
 このように占卜・辟邪・鬼神の諸要素は怪異占のヴァリエーションを捉える上で、重要な指標となる。しかし従来の研究では、あまり着目されてこなかった点も多い。そこで本発表では、比較分析の方法を考える試みとして、モデルケースを挙げて諸要素を抽出・図式化し、私見を提示してみたい。
 なお、今回はテーマ企画「占いと預言」ということで、占いと預言の違いについても少し考えてみたい。両者は重なる部分も多いが、概念的には異なる部分も見いだせる。そこに怪異占の性格を考えるヒントがあるように思われるのである。


*当日は、会員外の方でもご参加いただけます。
多数のみなさまのご来場をお待ちしております。